DHA不足が男性不妊を招く?

毎日新聞に「DHA不足が視力低下や男性不妊を招く?」という記事が掲載されました。

こちらから記事をご覧いただけますが、記事のコピーは下記に載せておきます。

 

DHAは、青魚に豊富に含まれる成分です。

女性の妊活にも大切ですが、男性にも大切になります。

いつも「魚食べようね!」とお伝えしていますが、青魚(脂の多い魚)は本当に大切なんですよ~!!

ぜひ一読されてくださいね。

 

<8月、授かるごはん講座「カラダ温め編」は残席1名、基本編は空きあります>
右矢印かるごはん講座の詳細はこちら から

<以下、記事の転載です>

サバやイワシなどに豊富に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)。これまでの研究で、中性脂肪やコレステロールの値を下げたり、動脈硬化を予防したりするなどの効果が分かっている。しかし、それだけではなく、DHAがなくなると視覚や生殖機能が失われることが新たに分かった。国立国際医療研究センター研究所などのチームがマウスの実験で明らかにし、米科学誌「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」に発表した。【医療プレミア編集部・藤野基文】

◇細胞の膜に含まれるDHAの謎

動物の体を作る細胞には、外側を包む細胞膜のほか、内側にあるミトコンドリアや小胞体、ゴルジ体などの「細胞小器官」にも膜がある。膜はリン脂質という脂質が集まってできている。リン脂質は1000~1500種類あり、各組織の役割などによって異なる分子構造を持っている。眼球の内側にあって光を感じる網膜の視細胞や精子の膜には、DHAを含んだリン脂質が豊富に存在する。

DHAは、ヒトを含む動物の体内で作り出すことができないため、食べ物から摂取しなくてはならない。食べ物から体内に取り込まれたDHAは、血液中で脂質の分解を促進したり、動脈硬化や血栓の原因となる血小板の凝集を防いだり、LPAAT3という酵素の働きでリン脂質の一部になって細胞の膜の構成要素になったりする。ところがこのうち、膜に関してはDHAがどんな働きをしているか謎に包まれていた。

◇DHAがないと視細胞の形が崩れる

膜に含まれるDHAの働きを解明するため、研究チームは、酵素LPAAT3を作ることができないマウスを遺伝子操作で作製。DHAを含む膜が作られない場合、視細胞と精子にどのような影響が出るのかを調べた。

すると、網膜では、目に入った光を電気信号に変える視細胞の一部の形が崩れていることが分かった。その網膜に光を当てても電気信号が発生せず無反応で、ほぼ視力を失っている状態だった。研究所の進藤英雄・脂質シグナリングプロジェクト副プロジェクト長は「DHAを含むリン脂質は他のリン脂質よりも軟らかく、その性質が視細胞の形を維持するのに適しているのだろう」と分析する。

◇精子は奇形で受精率0%

一方、精子については、採取した精子の90%が奇形で、頭部に余分な物質が付着し、卵子に侵入するための先端部分が折れ曲がっていた。さらに、通常のマウスではほぼ100%成功する方法で5匹のマウスについて人工授精を試みたところ、全て失敗した。

研究所の菱川佳子・脂質シグナリングプロジェクト研究員によると、精子のもとになる細胞は精巣で周囲の細胞に栄養を供給されながら成長し、最終的に周囲の細胞から切り離されて精子となる。DHAが含まれている膜の軟らかさが、切り離す際に余分な物を除去するのに適していると考えられるという。ところがDHAがないと、これが正常にできなくなり、重篤な不妊を伴う奇形の精子になるとみられる。

◇常に摂取する必要があるDHA

これらの結果から、チームは「ヒトでも同様のことが起こると考えられ、体内でDHAが不足すると、視力低下や男性不妊の原因になる可能性がある」と指摘する。

研究所の菱川大介・脂質シグナリングプロジェクト上級研究員によると、DHA含有の膜を持つヒトの視細胞の一部は、常に新しいものに作り替えられ、さらに、DHAは最終的に細胞のエネルギー源として使われてしまう。このため、DHAは摂取し続けないと体内で必要量が維持できないのだという。

DHAは植物に含まれるαリノレン酸という物質からも体内で合成することはできるが、摂取したαリノレン酸が、生体で機能できるDHAにどの程度変換されるかは不明だ。菱川上級研究員は「魚やサプリメントからDHAを直接取ることが効果的だと思われる」と話す。

また、チームは今後の目標について「DHAを補うことや酵素LPAAT3に関わる遺伝子を調整することが、視覚機能や生殖機能を改善する治療方法の開発につながる可能性があり、研究を進めていきたい」としている。

—–