“オイルの王様”とも呼ばれ、健康的な油として有名なのがオリーブ油です。
実際、オリーブ油にはオレイン酸というコレステロールを減らす作用のある成分が多く含まれており、日常的にオリーブ油を使っている地中海沿岸諸国では心疾患による死亡率が低いという報告から、今や日本でもポピュラーになりました。
ピリッとするオリーブ油に健康作用が!
とくにエキストラバージンオリーブ油は風味が豊かなので、生で料理の仕上げに回しかけたり、ドレッシングの油として使うことが多いですよね。
それらの料理を食べたとき、喉の奥にピリッとした辛みを感じることはありませんか?
この辛みは、オレオカンタールという成分がもたらすもので、実はこの「ピリッ」に健康作用があることがわかってきました。
オリーブ油と生理痛の関係
“イブプロフェン”というワードを一度は聞いたことがあると思います。
“イブプロフェン”は、炎症を鎮める代表的な薬の成分。頭痛や生理痛のときに飲む薬に入っていることがあるので、なじみ深い方もいらっしゃるでしょう。
なんとオレオカンタールは、このイブプロフェンと非常に似た抗炎症作用を持つことが近年発見されました。
この発見により、地中海沿岸諸国での心疾患による死亡率が低さは、オリーブ油のオレイン酸だけではなく、このオレオカンタールも関係しているのではないかという見方も出てきました。
また、認知症予防にもなる可能性があるという報告もあります。
もちろんオリーブ油に薬のような作用はありませんが、日常的に使っていればおだやかにその恩恵を受けられる可能性があります。
人間は加齢にともなって、体内で炎症が起こりやすくなります。
炎症はいろいろな病気の元になるもの。
「妊活中はどんな油を使ったらいいですか?」というご質問をよく受けるのですが、その意味でも、私はオリーブ油をおすすめの油の一つに挙げています。
オリーブ油ならどれでも抗炎症成分が入ってる?
このオレオカンタールはエキストラバージンオリーブ油に含まれるものなので、残念ながらピュアオリーブ油では期待できません。
ちなみに、オリーブ油はエキストラバージンオリーブ油とピュアオリーブ油の2種類に分けられますが、この違いをご存知ですか?
違いは、製法です。
簡単にいうと…
・エキストラバージンオリーブ油…オリーブの実をしぼってろ過しただけのもの。風味が豊か。
・ピュアオリーブ油…精製したオリーブ油で、味と香りが控えめ。
エキストラバージンオリーブ油は風味があるので、生で仕上げに使ったりと生使いすることが多いですが、加熱用としても使ってもOK。
ピュアオリーブ油のほうは風味が控えめなので、一般的には炒め物など加熱用として使われますが、さっぱりとしたドレッシングを作りたいときなどに生使いしてもOK。
料理のイメージに合わせて使い分けると良いですが、オレオカンタールをとるなら、エキストラバージンオリーブ油ですよ。
参考)
・エクストラバージンオリーブ油中のイブプロフェン-様活性(G. K. Beauchamp, et al.)
・オリーブオイルに認知症予防効果?(日経サイエンス)