不妊治療に鍼灸は効果があるのか?

不妊治療で鍼灸をとりいれると妊娠率が上がる、というウワサは、妊活をされている方なら耳にしたことがあるかもしれません。
私も当時、人工授精から体外受精にステップアップするときに「もう後がない、できることはなんでもしてみよう」と、不妊専門の鍼灸院に通いました。

私個人としては、体が整う実感があり、通ってよかったと思っています。
でも、鍼灸と妊娠率について、エビデンスはあるのでしょうか?

鍼治療と妊娠率

結論からいうと、鍼は妊活に有効であるかどうかは現時点でわかっていません
妊娠にプラスに働くという研究もあればマイナスに働くという研究もあります。結論としては何とも言えない、という報告もあります。

たとえば一例をあげると、体外受精を行う前後に鍼治療を受けても、出生率を高める効果は期待できないという結論が示された研究結果(2018年「Journal of American Medical Association」)もある一方、移植日に鍼治療をすると体外受精、顕微授精の妊娠率が有意に上昇する(2006年「Fertility&Sterility」)というものもあります。

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妊活とストレスの関係

ただ、鍼治療が不妊女性の精神的ストレスをやわらげるという事例はいくつか出ています。
たとえば、明治国際医療大学の研究によると、「鍼治療には、不妊患者が抱える緊張や不安・抑うつ・落ち込み・怒りや敵意、混乱するといった精神状態を緩和させる効果がある」としています。
また、ストレスが軽減したことによると思われる妊娠結果の改善の報告もあります。

これらのことから、現時点では、不妊治療においての鍼治療というのは、ストレスをやわらげるリラクゼーション効果という点がメリットかもしれません。
「ただのストレスだけ?」と思われるかもしれませんが、私自身の経験もふまえ、不妊治療は心身ともにかなりのストレスがかかります。
不妊治療にとってストレスは、交感神経を優位にして全身の血流を悪くすることにつながるでしょう。
その結果、子宮や卵巣への血流も悪くなり、卵子の発育や子宮の状態に影響すると思われます。
だから、ストレスが緩和されることは、間接的に妊娠に近づくことだと私は思います。

私の鍼灸体験

私は、新宿にある新宿アートクリニックという病院で体外受精を始めました。
だから、その近くにある鍼灸院がいいと思い、近くにあったそあら鍼灸院というところに通いだしました。
理由はただ近いから、そして他より値段が安かったからです。
なんの思い入れもなかったので、もし合わなければすぐやめようと思っていました。

当時私は朝から晩までデスクワーク。
一日中パソコンで仕事をしており、夕方になると目が痛くて痛くて、帰るときには目が痛すぎて薄目を開けて帰るという状態でした。
そんな状態で初診を予約し、鍼を打ってもらうと、パッと目が開き、痛みがなくなったのです。
その状態は2日間続きました。

また、私は東洋医学でいう、気血水のうち、血が足りないようで、そういうタイプの人は目と爪にきますといわれました。
「爪は割れやすくないですか?」と。
当時の私は、ちょっと爪に刺激があっただけで爪が割れてしまい、困っていたので大当たり!

しばらく通うと、目もあまり痛くならなくなり、気づくと爪も割れなくなっていました。
そして流産などありましたが、8か月後に妊娠し、クリニックを卒業することができました。
この鍼治療がどう妊娠によかったのかはわかりませんが、目と爪に関しては大いに実感できたので、全体的に体を整える助けをしてくれたのかな?と思っています。

まとめ

鍼は妊活にプラスに働くのかどうかはわかっていません。
ただ、私は自分の経験から、不妊専門の鍼灸院に通って良かったと思っています。でも、もちろん鍼灸が合う人、合わない人はいるはずです。
鍼灸にかぎらず、漢方やヨガなど、妊活に良いといわれるものは数多くあります。
私は妊活とストレスは大いに関係していると思っているので、妊活に良いといわれているものの中で自分がやってみたいことにトライしてみる、自分が前向きになれる術を何かもっておく、心のお守り的存在をなにか見つける、といったことが妊娠に近づくひとつの方法だと思っています。

参考)

鍼治療で不妊治療の成功率は向上しない
不妊女性の精神的ストレスに対する鍼治療の有用性